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リン・ハレルのCDを聴きながら:チェロ小品集

義父が亡くなりました。90歳でした。義父とは20年近く前に、この家で3年間半ほど一緒に暮らしました。人の歴史に改めて想いが行きます。葬儀が終わり、形見にクラシック音楽のCDをもらって来ました。その中にリン・ハレルのチェロ、ブルーノ・カニーノのピアノによる、チェロ小品集のCDがありました。今朝早い時間に目が覚め、聴いていました。最初の曲はフォーレの「夢のあとに」です。聴くたびに、生きて生まれて来なかった我が家の最初の子を思い出す曲です。この曲はもともと歌曲で、その歌詞の意味は、まどろみの夢に見た恋人の幻影、その夢から覚めてのちに、幻影を追うはかない思いを意味しています。義父がこれを聴いて、どのような印象を持ったのでしょう。

CDからサンサーンスの「白鳥」が流れて来ました。私が(本当に下手な)フルートで時々演奏する曲です。喪主の義弟の結婚式では、家内のエレクトーン伴奏でモーツァルトのフルートとハープのための協奏曲の第2楽章を演奏しました。直前にエレクトーンを演奏した人がエレクトーンの音程を電気的に変えていたことに気づかず、フルートとの音合わせに手間取って冷や汗をかきました。その結婚式で仲人をしてくれた義弟のかつての上司も、葬儀に参列してくれました。改めて話してみると、何と私が勤めている先の活動に参加していた人でした。葬儀は、普段離れ離れになっている親類が一堂に会する機会でもあります。78歳の義父の弟ともう一人いる50歳の義弟が、年取って気づく若さの良さについて話しているのを、傍で聞いていました。彼らとは過去の経験を共有していない私はもっぱら聞き役にまわっていましたが、飽きることはありませんでした。葬儀の後に親族そろってレストランで食事をしました。義弟の要望で、他にお客さんがいない頃を見計らって次男が少しだけ歌を歌いました。すぐ傍で聴いていましたが、とても力のある声になっていました。

CDからエルガーの「愛のあいさつ」が流れて来ました。長男が小学生の頃にヴァイオリンで練習していた曲です。若くて綺麗な女性のヴァイオリンの先生が、とてもその容姿からは想像出来ない大変厳しい口調で指導することに驚いたと、かつて義父が話していました。

海外出張から戻った朝、成田空港で義父の訃報を聞き、葬儀の手伝いをすることが出来ました。それが私にとって、せめてもの慰めとなりました。

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